高信頼性マイクロ(厚膜全固体化)ヒューズ
High Reliability Microfuses (Solid Body)
米国・AEM社は厚膜技術による宇宙用ソリッドヒューズの製造メーカで、その製品は世界中の主要な衛星、および多数の宇宙ステーションプログラムに採用されており、現在にいたるまで無事故を誇る唯一の高信頼度・ソリッドヒューズメーカーです。
なお、2014年には製品に対する米国ITAR規制が緩和されて輸出ライセンスが不要となりましたため、よりお求め易くなっております。
■製品ラインナップ
■用 途
商用・軍事衛星搭載用およびロケット、有人宇宙船・宇宙ステーション用
- 電源/バッテリー/太陽電池パネル保護
- 冗長系/分岐回路系保護 メインバス短絡防止
- 点火/分離シーケンス時の短絡保護
■特 長
- 真空度にかかわらず一定した過負荷溶断時間
- AEM特許のソリッド・ヒューズ構造は溶断時のアウトガスがありません。
- 従来のワイヤヒューズとは異なり、耐機械環境性(振動・衝撃)に優れています。
- 正温度係数を持つソリッド・ヒューズは、溶断時に抵抗値が増加するため、溶断時の電源への過負荷を抑制します。
- ガラス固化体封止構造のため、溶断時のアーク、プラズマおよびアウトガスはすべてケース内部に閉じ込められ、外部への影響がありません。
■過電流時のヒューズ動作
AEMマイクロヒューズに過電流が印加されると、金ヒューズ素子が溶融しますが、溶融した素子はアーク抑制ガラス素材に瞬時に吸収され、溶融に伴う蒸気の発生、イオン化が発生しません。
また、一度ヒューズが溶断すると、電圧が印加された状態で起こりがちなアークの発生、および再ブローをアーク抑制ガラス素材で阻止します。アーク、プラズマ、金属蒸気はすべてパッケージ内に閉じ込められます。
金ヒューズ素子は正の温度抵抗係数を持っており、過負荷電流の増加に伴いその抵抗値が増加するため、溶融時の更なる短絡電流の増加を防止します。
■AEM厚膜ヒューズのできるまで
- 基板は96%純度のアルミナで、電流・電圧により厚さは0.5mm、0.63mmおよび1mmの3種類に加工します。
- アルミナ基板上に誘電体ガラスをプリントします。このガラス材がヒューズ素子の熱遮断の役目を果たします。
- ヒューズ素子の厚膜プリントにおいては、設計値どおりの溶断時間とするためにその形状および厚さは厳密に管理されます。
製品は1/8[A]から20[A]の幅広いレンジをカバーしています。
- ヒューズ素子の両サイドにリード線接続用に厚膜プリントにて銀端子を刷り込みます。
- ヒューズ素子および端子部分にアーク抑制ガラス材を厚膜プリント処理します。電圧および電流値により処理される厚さが管理されています。
- 電熱炉にて焼成処理を実施。
- リード線をリフローハンダ処理にて接続(Sn96/Ag4、221℃)
li
- 上記処理済のヒューズアセンブリーはインサート・モールド形成されます。このモールド材はNASAアウトガス要求仕様(ASTM E595)適合プラスチックを使用します。
- 標準試験仕様であるグループAおよびグループB試験を全数に実施。
本試験には熱衝撃、168時間のバーンインおよびX線透視検査が含まれます。
|