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Polyphaser
(ポリフェーザー社:アメリカ)


「雷撃防護の基礎知識」
The "Grounding" for Lightning and EMP Protection

第13章:山頂サイトの接地

山の頂上はラジオ放送の中継局としては絶好の場所ですが、雷撃に対する接地回路を構築するのが困難な場所でもあります。過去にも接地を「成功」させるために数多くの理論が編み出されてきたという経緯があります。

米国ジョージア州アトランタ郊外のストーンマウンテンの頂上には、TV局の中継施設があります。そして山麓には人工の湖や川があります。この中継局では、太い接地ケーブルを急峻な崖を伝って麓の電導性のある土壌まで引き、ここで接地回路を構築しています。ここで用いられている接地ケーブルの雷撃時のインダクタンスは、中継局に電源を供給するケーブルのインダクタンスよりも小さく作られているため、有効な接地回路として機能しています。

電力ラインのプロテクトの重要性は前章までに述べたとおりです。正しい対策がとられているサイトでは、雷撃があっても機器は安全な状態に守られます。そうしたプロテクトの重要性は山頂にあるサイトも全く同様です。ここでの雷撃のエネルギーが平地よりも大きいため、プロテクターの耐電圧をより大きなものにすると同時に、I/0プロテクターの品質にも考慮しなくてはなりません。

雷撃が接地システム全体を励起することで低周波数の共鳴が発生します。帯電した垂直アンテナが、雷撃によって広範なバンド域のノイズを受けた場合を考えます。共鳴が発生することで電力ラインと電話線に接地されているプロテクターに負荷がかかります。

岩石質の地盤に銅のストラップで接地回路を形成するときには、ちょうどガラス棒を毛皮でこすったときに帯電するように、放射状回路はコンデンサーのように帯電して、周囲の土壌に放電します。ストラップに鋭利なエッジがあると、空気の耐電圧を超えて帯電した場合そこから絶縁破壊が発生してアークが飛びます。このことは一見危険そうに見えますが実際は逆で、機器にダメージを与えることがないばかりか、放電によって接地システムの電位が下がるためにむしろ有益であるといえます。いずれにしても、アンテナ(鉄塔)と接地回路によって生じる共鳴には十分注意を払わなくてはなりません。
土壌の電導率が増すと、それだけエネルギーを土壌に逃がす効率が良くなります。雷撃の直前に小雨が降っていた場合などのように、土壌にわずかに水分が含まれていると、その電導率は劇的に増加します。

山頂にドリルで穴を掘り、その内部を木炭やベントナイト質などの電導性の物質で満たすという方法は役に立ちません。岩石がむき出しの土壌では水分がしみこんで電気の通り道となるべき岩の裂け目がない場合が多く、穴を掘っても周囲に放電できないために電導性は向上しません。既に帯電した穴に別の電子がやってきても、電子同士は反発するために穴は電子であふれ、水が穴からあふれるように周囲の地表面に広がります。ただ水と異なり、電子は反発力があるために穴を満たすためにはごく少量で十分で、ひとたび満され地表面を広がるようになるとそのときには電子同士が反発してエネルギーを得るという事です。電子の反発力を有効に放電に生かすことができるのは放射状の接地回路です。

塩や硫酸銅、硫酸マグネシウムをまく化学的方法は、土壌の抵抗を減らし放電に有利に作用します。このことで共鳴を減衰させ、サージのエネルギーを熱に変換してしまいます。銅やマグネシウムの硫化物をまく方法は、その他の塩をまく方法に比べて腐食性が少なく、特に硫酸マグネシウムは他の塩に比べて環境に対する影響が最も小さい物質です。全ての塩は水分が氷結する温度を下げる働きがありますが、氷結の有無は高電圧の条件では大きな意味を持っています。およそ2kgの塩が一年間に2mの放射回路に使われる量です。また、それぞれの接地ロッドに対しては、1本当たり5kg必要になります。塩を使う場合には、常に水分を絶やさないようにし、風で吹き飛ばされないようにしなくてはなりません。

地盤に土が全く存在しない場合には、放射状の接地回路を導電性のジェルやカーボンで覆うという方法で代用できますが、あまりお奨めできる方法ではありません。アクリルアミド、シリコン、フェロシアン銅などのジェルは導電性を増すことが知られていますが、これらは皆有害であるか、あるいは危険性が高く、取り扱いには注意が必要です。放射状の接地回路の代用にコンクリートを用いたUfer型接地を用いる方法は、更に容易に構築することができます。

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