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Polyphaser
(ポリフェーザー社:アメリカ)


「雷撃防護の基礎知識」
The "Grounding" for Lightning and EMP Protection

第3章:接地と材料

●低インダクタンス接地ロッドの接続と腐食について

接地ロッドはさまざまな太さと長さがあります。その中で一般的なものは1/2、5/8、3/4、1インチのものがあります。この中で1/2インチのものは銅の回りにステンレスをコーティングしたものや、メッキしたもの、銅をコーティングしたものや全てステンレスでできたものもあり、形状もノーマルなものからネジを切ってあるものまで揃っています。

このロッドをシステムに用いる際には、システム内の全てのロッドの形状を同じにする必要があります。カプラ―は両側にネジの切ってある真鋳棒で、ロッドの端に切ってあるネジに介して2本のロッドを接合することができます。それぞれのカプラーで8〜9mのロッド同士を接合することができ、実際には3個のカプラーを用いて36mの接地ロッドを構成します。

●接地ロッドの埋め込み

地中に埋め込まれたロッドは、土中をロッドが進むことで土の密度が周囲の値よりも高くなり、ロッドとの間の導通が良くなるために、アース線としての性能が高まります。ポリフェーザー社のパウンディングキャップを用いれば(品番 #FG 1900-0005)カプラーに適合したロッドの埋め込みと接続を行うことができます。一番上のカプラーとアンカーボルトの双方にネジを切ることで、埋め込みの際のハンマーの衝撃からロッドを守ることができます。埋め込みの際には必ず、ボルトやエンドキャップの飛散やハンマーの欠損に備え、安全ゴーグルの着用をお願い致します。

実際の接地にはどの直径のロッドをどれだけの長さ用いるのが良いのでしょうか?多くの場合、銅をコーティングした直径5/8インチ、長さ8〜9mのロッドが用いられます。ロッド直径は、縦に継ぎ足すロッドの本数と、土壌の密度及び岩石質の割合に応じて太くする必要があります。このロッドの直径は最終的な接地システムのインピータンスには大きな影響を及ぼすことはありません。

●ロッドの材質

接地ロッドは主に、腐食を防ぐために銅のコーティングがなされます。この方法は電導性に関していえば最良の方法ではないように見えます。銅も勿論良い導体ですが、ロッドの材料である鋼の方が銅に比べて電導性には優れています。

銅コーティングの層の厚さは酸性土壌中にロッドを埋め込む際には非常に重要になります。岩石質の土壌にロッドを打ち込む時には、ロッド表面の銅がそぎ落とされて、さびが起こります。錆の主成分である酸化鉄は乾燥していると電導性がなく、水分があると始めて電気を通します。土壌の水分量に応じて、より経済的な、コーティングの無いタイプのロッドを使用することも可能です。常緑地域のように酸性土壌の地域では、表面の銅が腐食されるので、表面のコーティング層が厚いほど、ロッドの寿命は長くなります。工業用品質の接地ロッドはローカルな配電施設に用いることができます。
ロッドのコストは直径5/8インチ、長さ8〜9mの銅コーティングロッドで数千円であり、カプラーの値段は一個千円前後です。水泳のプールに用いられるタブを用いた酸/塩基測定が、土壌のpH値を求める時にも利用できます。土壌を蒸留水で洗浄した水と純粋な蒸留水を1:1の割合で混ぜたときのタブの色から、土壌のpH値を推定することができます。

重要なのは、接地システムは地中にあり直接は見えませんが、その寿命は永久ではないということです。地中のシステムといれども、定期的な点検と補修が必要です。

●腐食について

腐食は電子の授受で発生するプロセスであり、金属や合金としての性能が悪化する原因になります。酸化、欠損や亀裂の発生、不純物の混入、水素の浸潤などが腐食の形態としてあげられます。今日見られる多くの金属は不純物が混入しており、環境に曝されると何らかの腐食が始まります。

ポリフェーザー社の同軸線プロテクターに用いられているアルミニウムは、表面にできたわずか 1[nm] (=10-12[m])ほどの酸化物の層が内部の腐食を保護するために、酸化に対して非常に耐久性があります。表面の酸化物層が何らかの理由で削り取られると、新しい表面が速やかに酸化されて、それ以上の酸化を防ぎます。アルミが汚れたり変色したりした時は、表面の汚れが原因です。

一般的には、腐食は表面のみで起こるために金属素材の減少はほとんど起こりません。
30年使用したアルミニウムの屋根ですら、平均での表面欠損の深さはわずか0.076oにとどまっています。コネチカット州のハートフォード近郊で51年にわたって使用された電線でも0.109oに過ぎません。バルクヘッドパネルに用いられるC110のような銅は、屋根や雨樋に利用されますが、この金属は環境に曝される条件の下でもっとも多く用いられています。緑青が発生する欠点はありますが、銅は数世紀に渡って最も多く用いられてきた金属であり、水や空気に対する汚染もほとんど無視できるレベルに留まっています。高温での使用では、ある種の銅合金はステンレス鋼よりも高い性能を示します。

銅とアルミニウム、あるいは銅とトタンなどを接合する際に、接合部に水分が浸入すると、長い時間の後に腐食による損失が発生します。これは金属のイオン化傾向により、より卑な金属が陽極になり、陰極となった貴な金属に代わって腐食を受けるために発生します。ここでの例では、銅はアルミニウムやトタン(表面は亜鉛)よりも貴な金属となっています。次ページにある金属のイオン化傾向表に、一般的に用いられる金属のイオン化傾向の順位が記載されています。

鋼に亜鉛をメッキしたトタンの場合は表面の亜鉛がベースの鋼の腐食を遅らせる代わりに、接触部での電気抵抗は増大し、機械的な構造が弱くなります。

アルミニウムは腐食されて銅との接触表面積が減少するため、電気的な接触が弱くなり、ノイズやアークの原因になります。

接合部の腐食問題は、コンパウンドを使用することで解決することができます。これは金属表面を覆い、二つの金属間の水分のやりとりが出来ないようにして腐食を防ぎます。一般的に用いられるコンパウンドはグラファイトや銅の微粒子をグリースに侵入させたものです。接合部の圧力が増加すると微粒子は金属の内部に侵入し、気泡や水分の抵抗の少ないピュアな接触が得られます。

このコンパウンドの使用は、同軸線プロテクターとバルクヘッドパネルを環境による劣化を避けて接続するのにお奨めできる方法です。同様にバルクヘッドと接地板との接続には銅の微粒子を配合したコンパウンドを御用一致しております。このコンパウンドは1平方インチの銅同士を暖かく結合した条件の下でテストを行ったところ、アークの発生や抵抗値の変化が、8/20波形のサージを25.5kA以上に上げても見られませんでした。

ジョイントコンパウンドを用いた場合でも、導線を直接鉄塔の足に接続することは避けてください。一番の問題は、鉄塔の足と導線との接触表面積小さくなってしまうことです。このケースでは、ポリフェーザー社のTKシリーズステンレスクランプの導入をご検討ください。TKシリーズクランプは、腐食の原因となる異種の金属間の機械的接触を避けると同時に、両者の電気的な接触表面積を確保します。TKシリーズクランプが外部に曝される場所には必ず、ジョイントコンパウンドを使用してください。より効果的な接続条件を得るためには、銅のストラップを銅線の変わりに使用してください。

酸化銀は金属酸化物の中では唯一電動性を持っています。(これは、ポリフェーザー社のNタイプ同軸コネクターがすべて銀で作られており、センターピンに金を使用している理由の一つです)銅の酸化物は電導性がなく、ジョイントコンパウンドを適切に使用して酸化を防ぐ必要があります。

銅をコーティングした接地ロッドを使用するときには、表面の酸化物の層がきちんと除去されるようにしてください。ポリフェーザー社では、銅酸化物のクリーニングキットを御用意いたしております。このキットには、作業に必要な物が全て含まれております。(研磨パッド、ジョイントコンパウンド、拭布、取扱説明書)これらを用いることで、ロッドの電導性を取り戻すことができます。スズメッキの導線は腐食の原因となるので、銅の接地ロッドと一緒には使用しないでください。スズ、鉛、亜鉛、アルミニウムなどは、全て銅よりもイオンか傾向が高く、銅よりも早い酸化を受けます。接地システムに使用する際には、地面と接触する金属がすべて同一のものであることをお奨めしたします。

こうした理論と技術を応用することで、頻繁なメンテナンスの不要な耐久性のあるシステム構築することができます。

●「Ufer」型接地との兼ね合い

Ufer接地を行っている場合には、一本目のロッドを鉄塔の足から60p以上離して埋設して下さい。接地ロッドは同間隔で埋設するのがもっとも経済的で省力性の高い方法です。ロッド同士の干渉を防ぐためにも、ロッドの間隔はできるだけ離して埋設して下さい。

●ロッド間の接続

ロッドの間隔が大きくなると、ロッド間の接続ワイヤーは漏れ電流を周囲のアースに逃がすことができるようになります。この状態は、垂直に埋設された接地ロッドを、水平の接地ロッドで接続した状態と見ることができます。電導性の高い地盤の場合には、水平部分から漏れ出す電流が大きく、損失が大となるため、この部分のインダクタンスを考慮する必要はほとんどありません。そのため、 I2 × R で表されるサージのエネルギーに耐えうる限りは、ロッドの選定のところで述べたような導体の表面効果は余り重要ではありません。電導性の高い地盤では#10ゲージが使用実績のある最小のワイヤーです。このように電導性の高い地盤はかなり限られており、砂地のような電導性の低い地盤の場合には、埋設された接続ワイヤのインダクタンスは、空中に張られた同軸線と同程度の値になります。このような悪条件では接続線のインダクタンスは大きな影響を与えます。高いインダクタンスを持つ接地システムでは雷撃時の電流を同軸線から迂回させることができないため、こうした条件では接地ロッドはまったく意味を成さなくなってしまいます。

●接触部の材質

接地ロッドを電導性の低い土に接触させる場合、銅製のストラップのご使用をおすすめします。このストラップは厚さが約0.4oで、0.5〜1インチのストラップの場合、接触面積は#6AWGワイヤーと同等の値になります。1MHz程度の高周波は表皮効果により表面からわずか0.2o程度のところまでしか流れることができず、ストラップをこれ以上厚いものにしても効果はほとんどありません。ロッド間の低インダクタンスでの接触を実現するには、ストラップの幅は、接地ロッドの長さの1%程度にする必要があります。
ストラップを接地ロッドに取付ける際には、ポリフェーザー社のクランプをご使用ください。5/8インチ径のロッドと0.5〜1インチのストラップとの結合には、58R〜112Sというクランプが、確実で、電気的にも好ましく、保守の手間の少ない結合を実現します。銅の接触部は必ずクリーニングを行い、水分の進入を防ぐためにジョイントコンパウンドを使用してください。この他のクランプでも、土中でストラップ同士を結合するタイプや、0.5〜1インチのストラップを他の様々なケーブルと結合するタイプなど、多種にわたるラインナップを取り揃えております。



●接地ロッドの埋設深さ

接地ロッドの埋設深さは、埋設されている土地の電導線によって変化します。土壌の電導性はその組成や水分量、塩分の割合などで大きく変化します。ロッドは地下水脈まで達しているのが好ましい状態ですが、すべての場合に必須の条件ではありません。高緯度地方では接地ロッドは土壌が凍結する最大深さよりも深いところまで埋設されていなくてはなりません。多くの場合、ロッド長さを合計した値は15m程度は必要で、1本あたりに平均長さも5m程度は必要です。埋設深さは接地ロッドの数や間隔によっても同様に影響を受けます。

●接地ロッドの機能

埋設時にロッドがどういった影響を受けるかということも知っておかなくてはなりません。ロッドは埋設の途中で岩に突き当たることもあり、土は先端で押し広げて僅かに離れたところに押しのけられます。岩に突き当たった場合、場所を変えて埋設をやりなおしたほうが、ロッドの直径分だけ穴を掘ってまた埋め戻す方法よりも一般的に良い結果が得られ,ます。埋め戻された土壌は密度が低く、接地抵抗も高くなってしまいます。(1本目のロッドの埋設を開始する前に、地質の調査を行うことをお奨めします。このことでそのサイトでの土壌の状態がわかり、埋設すべき深さや地下水脈の有無などを知ることができます。5章により詳しい解説があります。)

●雷撃用接地、RF用接地、電源用接地

鉄塔を雷撃から守るためには、たった1本の接地ロッドでは不十分です。基本的には接地には下記の3種類の方法があります。

1つ目はRF用接地と呼ばれる方法で、アンテナの釣り合いを保つ方法です。アースレベルはRFの双極の中間の値をとります。よいRF接地は実際の地面電圧にくらべ電位差があり(チューニングされていて)、雷撃に対しては良い接地とはいえません。もしこの電位を地面電圧にあわせたとすると、これはもはやRF用の接地のみならず、RF、ノイズ、雷撃を共通に処理するアースになります。それゆえに、すべてのRF接地が良い雷撃用接地であるとは限りませんが、良い雷撃用接地は低周波域においては良いRF接地ということができます。

2つ目は雷撃用接地です。この接地は大電流を瞬間的に処理しなくてはなりません。典型的な雷撃では、鉄塔の底部でのエネルギーは直流〜低VHFバンド域(<100MHz)になっています。接地システムはこの広い周波数レンジに渡って安定なものでなくてはなりません。

3つ目はパワーリターン、あるいは電源用接地と呼ばれるものです。これは60Hz程度の低周波用の接地で、雷撃時にも電源電圧の60Hzのアースは保たれます。しかし、雷撃の電圧上昇時間に比べると非常にインダクタンスが高く、雷撃に対しては良い接地とはいえません。そのため、Ufer型接地には、雷撃用接地と電源用接地を接続します。電源のショートなどのような地絡時には、過電流が遮断されるまでの間に雷撃よりも多くの時間がかかるため、雷撃時よりも多くのエネルギーが土壌に流れます。雷撃はピーク時のエネルギーは巨大ですが、継続時間は非常に短いものです。Ufer型接地はこの2種類の電流を」流すことのできる方法です。

●接地理論

理論的には、1,000Ω/mの抵抗を持つ均質な土中にに埋設された1インチ径のロッドは、深さ1mまで埋設すると765Ωの抵抗値を持つことが知られています。また2mまでのばすとその抵抗値は437Ωになります。しかし、ロッドの長さを3mにしても309Ωになるのみで、それほど大きな変化はありません。より簡単に接地抵抗の値を減らしたいときには、通常は1mのロッドを3本埋設する方法が採られます。この方法だと、230Ωとい低い抵抗値が得られます。この際には、「ロッドはその長さの分だけ離して埋設する」ことが必要になります。また、ロッド相互を結ぶワイヤーを土中に埋設すると、接地システムの合計は200Ωを切ることができます。(15mを超えるような長いロッドを1本用いた場合、たとえそれが地下水脈まで達していても、良い接地回路としては機能しません。なぜなら、地面近くの2〜3mの部分が雷撃初期の電流上昇を吸収してしまい、この部分の土中に渦電流を誘起するためにロッドのインダクタンスが上昇し、電流がそれ以上深いところに達することができなくなってしまうためです。



●電流の土中への吸収

ロッドを埋設する時の「ロッドはその長さの分だけ離して埋設する」という通説は、ほとんどすべての接地ロッドに対して適用することのできるものです。接地ロッドはその片端に、ある3次元形状を持ったクランプが接合されます。その場所での土壌の状態(地層など)に応じて、接地ロッドが電流を伝える円筒部分の体積は、次のような大まかな法則があります。

ロッドが電流を土中に伝えうる円筒部分の直径と深さは、共にロッドの埋設深さに等しいので理論的には2本のロッドの埋設深さはその2本の間隔以上にとってはなりません。ロッドの間隔が近すぎると、双方のロッドの影響を受ける部分の土壌がエネルギーを吸収しきれなくなり、すぐに飽和状態に達してしまいます。

●ロッド埋設の例

地下3mのところに地下水の層がある砂地を例にとって考えます。長さ3mのロッドを2本縦に接続して6mとしたロッドを埋設します。2本目のロッドは必ず1本目のロッドからある距離以上離さなくてはなりません。この離す距離を決定するには上記の理論を利用するのですが、解釈の仕方によって2通りの距離の取り方があります。

(1) 地下水の層に達するまでの部分のロッドは土壌に対する電導性がないため、単なる導線として解釈する方法。この場合、ロッドの長さは地下水の内部の3mのみになるため、2本の間隔はこの2倍の6mになる。

(2) 地下水の層を全く考慮に入れない方法。この場合、ロッドの長さは6mである為、2本の間隔はこの2倍の12mになる。
この例では、(2)の考え方は違った考え方です。サージの立ち上がり時間が非常に短いため、ロッド間を結ぶ導線のインダクタンスによってサージの高周波成分は流れづらくなり、Ldi/dtの値のよる電圧降下が生じます。言い換えれば、サージ電流が2本の目のロッドに達することができないということです。

(1)の考えではインダクタンスは比較的小さくなりますが、より良いインダクタンス特性を得るにはさらに2つの方法があります。1つは銅のストラップを用いる方法、2つ目は土壌の電導性を改善するためにロッドの周囲とロッド間の銅線の周囲に塩分をドーピングする方法です。最良のインダクタンス特性を得るには、(1)の方法にこの2つの改良を施す方法が有効です。

●放射状の接地

接地ロッドを結ぶ導線は接地ロッドと同様に、サージのエネルギーを散逸させるのに重要な役目を負っています。岩場などでロッドの打ち込めないような地盤でも、放射状に導線を張り巡らすことで優れた接地回路を作ることができます。

放送用アンテナに用いられるような放射状の接地方法はRF接地としても雷撃用接地としても極めて優れた方法です。理論的には、それぞれ20mの長さの#10ゲージワイヤーを4本、放射状に埋設した接地回路では、1,000Ω/mの土壌中で30Ω、8本を放射状に埋設した回路では25Ωになります。8本のワイヤーをすべて50mにすると同じ条件下で13Ωという優れた値になります。この回路の長さ2mの接地ロッドを追加すると、1本の放射路に1本のロッドを接続すると全体の抵抗値は10Ωを下回ります。もしロッドを10mおきに1放射路あたり4本埋設したとすると(合計で32本)、抵抗値は4Ωになります。
ここでの例はあくまで理想的なものであり、1,000Ω/mの土壌(砂質〜岩石質)という条件のものです。(放射路を極端に長くしても、短い放射路を数多くしても、抵抗値の減少にはあまり効果がありません。)

●岩場や山地での接地

岩場での接地などで、放射路がどうしても空中に浮いた状態で張られる個所が生じる場合、回路のインダクタンスが増加してサージ電流がチョークすることがあります。こうした条件の下では、ストラップを併用した細く短い射放射路を数多く何本も用いる方法が有効であることが分かっています。銅のストラップエッジが鋭いと、そこに電場が集中してL di/dtが大きくなり、故障の発生や土壌中にアークが飛ぶ原因になります。スプリンクラーのホースからある量の水を流出させる時に、―この場合は雷撃のエネルギーであるが―長さが25mもあるホースを使うのは時間と労力と材料の無駄というものです。放射路の半径は25m以下(できれば17m以上が望ましい)にとどめ、サージのインピータンスと接地回路のインダクタンスを減らすために鉄塔からの放射路を増設するのが好ましい方法です。この方法では、莫大なエネルギーを鉄塔と守るべき装置から迂回させて流すことができます。放射路はできるだけ装置の入った建屋から離すようにしてください。(建屋を囲うフェンスや、アースが必要なその他の装置がある場合には同様に遠ざける必要があります。)計測された接地回路の抵抗値は、実際よりも低い値がでるため、実際の抵抗値を知りたいときにはその値を約2倍にして考える必要があります。

堅い岩場の場合、ストラップは岩の表面にエネルギーを逃がすのに大きな役割を果たします。雷撃の時間の9割は電子がストラップに押し寄せている時間であり、ちょうど充電された状態のようになります。この電子は外部へ広がろうとするので、もし電流が外部へ漏れていくと、その抵抗値に応じてエネルギーは消費されます。乾燥した岩場では電導性は極めて低く、雷撃中に外部に伝播できるエネルギーはほんの僅かです。雷撃の前に降雨があると、岩は電導性を持つようになり、サージ電流は岩に逃げることができます。電流が外部に流れるほど、エネルギーは消費され、蓄えられたエネルギーの密度は低下します。Ufer型接地も同じような効果があり、蓄えられたエネルギーを効果的に外部で散逸させます。鉄塔やその張線の接地にUfer型接地は有効です。

●土壌の改良

土壌に塩分を添加する方法は土壌の電導性を高めるのに有効な方法ではありますが、これは一時的なものにすぎず、電導性を維持するには毎年添加をやり直さなくてはなりません。ポリフェーザー社のPolyRodのような化学ロッドでは、雨水を有効に利用して塩分を溶解させ、できた溶液を周囲の土中に浸透させる働きを持っています。もた、PolyRodは水の補給が可能な場合には自動的にドリップを行うことも可能です。水補給用の銅製チューブを装着可能であるために、PolyRodを用いて完成度の高い接地システムを構築することができます。銅製チューブはPolyRod間の電気的結合にもなり、また周囲の土壌に塩分を含んだ溶液を浸透させる役割も果たします。これによって周囲の土壌は電導性が保たれ、銅製チューブのインダクタンスも減少します。(化学ドーピングについては13章をご参照ください。)

●その他の装置

接地装置は様々な謳い文句で市場に発表されますが、それらの多くは実際に使用してみると、抵抗値には全く変化がないことがわかります。謳い文句の多くは、地盤の抵抗値があたかも自由に変えることが出来るかのように書かれていますが、実際は全く違います。可変なのは接地装置自身の抵抗値であり、地盤の抵抗値ではありません。

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