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 真空コンデンサのコメット
 
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COMET
各種冷却方式の解説



■空冷方式

●対流空冷方式(Cタイプ)

 真空コンデンサは低損失であるという特長を持っていますが、それでも電極部分のベローズは電流と周波数の増加によって高温になります。

 ベローズ温度は可変容量コンデンサの寿命を決定付ける大きな要素ですが、通常の場合は対流のみで冷却が行われることがほとんどです。COMETの真空コンデンサは防衛用途にも対応可能ですが、こうした用途の場合、コンデンサ表面の使用温度は最大で125℃に上ります。


図6:空冷コンデンサの周囲温度に対する
RF電流ディレーティングの関係
(25℃を100%とした値)

データシートに記載されているコンデンサ使用温度のディレーティング表では、周囲温度25℃の条件でのコンデンサ温度と、定格−使用電流の割合が掲載されています。ディレーティングの値は、コンデンサがマウントされている台座との熱伝導結合に大きく依存します。この表はあくまで参考であり、実際の使用電流を決定する際には温度平衡状態でのフランジ温度を解析によって算出する、或いは実測する必要があります。

上記の図6は他社の同様なチャートと比較した場合に電流値が低い傾向にありますが、これは空冷による冷却効果は反映していない安全側のデータとなっているためであり、性能上の問題ではありません。

●熱伝導による冷却効果

 コンデンサに接続されている全てのハーネス、ストラップ、ならびにコンデンサ自身を据え付けている台座との間への熱伝導結合によって、コンデンサは冷却効果を受けます。
 その冷却効果はハーネスの太さ、材質、台座との結合状況などに依存します。

●強制空冷方式(Aタイプ)

 より高い電流定格及び理想的な動作条件を作るためには、追加的な冷却装置を講じることをおすすめします。ベロー部分に対する強制空冷を行うと、非常に大きな電流定格のコンデンサが得られます。固定電極側外殻部への強制空冷モデルが固定、可変どちらのタイプにも準備されております。また外付けフランジに対する強制空冷についても同様です。
警告:冷却媒体は非腐食性であることを確認してください。また、温度低減曲線は空冷タイプのデータをご参照ください。


図8:空気流量と圧力の関係

●自己潤滑タイプ(強制空冷方式)

 空冷方式のコンデンサでは、冷却空気は熱の多く発生するベロー部の内部を通ります。空気は可動機構の内部も通るため、潤滑機構を含めた可動部分が過熱を受けます。結果として赤いキャップの中心の穴を通過します。この高温で乾燥した空気は潤滑油の蒸発を早め、粘度が増す原因にもなり、焼き付きを起こしてしまいます。
 過去にCOMET社は空冷コンデンサのこうした不具合を解決するべく自己潤滑システムを開発しました。これはドライブシャフトの回転に連動したピストン式の潤滑油溜めから、潤滑油が押し出され、ドライブスクリューからナットの方に押し出されるというものです。
このCOMET社の自己潤滑システムによって空冷コンデンサの寿命は2〜5倍という画期的な伸びを示し、これによって生産ラインを止めて交換作業をするという手間が大幅に減少しました。
この自己潤滑方式の出現で、強制空冷コンデンサには、新たに"S"というラインナップが登場しました。

 CV3A-650E:強制空冷方式・スタンダードタイプ
 CV3A-650ES:強制空冷方式・自己潤滑タイプ

この2つのタイプの価格面での差違はわずかですので、自己潤滑方式のご使用をおすすめしています。

■水冷方式(Wタイプ)

 より高い電流定格及び理想的な動作条件を作るためには、追加的な冷却措置を講じることをおすすめします。ベロー部分に対する水冷を行うと、非常に大きな電流定格のコンデンサが得られます。固定電極側外殻部への水冷モデルが固定、可変どちらのタイプにも準備されております。また外付けフランジに対する水冷についても同様です。
警告:どの水冷コンデンサも。長期にわたって優れた性能を維持し、設定寿命を全うする為に、その所定水量・水圧は厳守してください。継ぎ込みのパイプ径が適切でない場合、その逆水圧のために水圧を上げる必要が生じ、ひいては内部ベローの寿命を縮める原因になります。また、冷却水は非腐食性であることを確認してください。

●一般水冷方式

 一般的な水冷方式は冷却水が固定されたガイドチューブ、ベロー部の内部の周囲を流れるものであり、ベロー部の内部、ガイドシャフトを流れて排出されるものです。この方式はエアーポケットの形成をさけるために常に垂直に据え付けて運転する必要があります。冷却不良の問題はベローズがCminの位置に押し縮められている状態でしばしば発生し、気泡が渦巻状の極板内部に滞留して過熱状態となります。同様の問題はコンデンサを水平に設置した状態でも発生する可能性があり、コンデンサ寿命を縮める要因になります。

このタイプは4〜15 l/min の冷却水で冷却されます。この方式では冷却水の入り口と出口の間の最大水温上昇と、許容最大入力側水圧がカタログに規定されており、さらに冷却水出口温度が最大80℃の条件下で使用する必要があります。

図11は一般水冷方式の様々な設置形態を示しています。"a"のフィッティングは通常は"b"とは反対側にありますが、同じ側にあるモデルも存在します。内部滞留気泡の発生は設置形態AないしはBで回避することができます。設置上の制約からコンデンサを水平状態で使用する場合には、設置形態Cの状態で図に示す水流方向を設定することで気泡の滞留を最小限に抑えることができます。


図11:水冷方式の設置方向と水流の関係
(設置形態Aをお勧めします)

●渦水流型水冷方式

 COMET社は、大型の高圧コンデンサ用に渦水流型水冷方式を開発し、特許を取得いたしました(特許番号CH656740A5)。この方式は渦水流中の遠心力を利用しており、電極に接したプレート内部のインジェクターに特に工夫がなされています。この方式だと、冷却水がベロー壁面に押しつけられる一方、気泡は中央へ押し出されて排水と共に外部への排出されるため、冷却に悪影響を及ぼす気泡がベロー部に集まることはありません。またこの方式はコンデンサの装置姿勢に制約がないのも大きな特徴となっています。
 このタイプは最低で22 l/min 、標準では25 l/min の冷却水で冷却されます。

●水冷固定容量コンデンサ

上下両極プレートの冷却を冷却水によって行い、電流容量をアップされた固定コンデンサも、数多く取りそろえております。


図13:固定コンデンサの水冷方法

■冷却水の水質と空冷タイプの補助水冷について

●冷却水の水質について

 良好な運転状態を保ち、機器の寿命を延ばすために、冷却水の循環機構及び水質のメンテナンスは必ず行ってください。一般の水道水では水質の要求基準に適合しません。
コンデンサの冷却には蒸留水またはイオン交換水が必要です。循環機構と水質は性能の劣化を防ぐために定期的にチェックしてください。また運転中などのタイプのコンデンサでも必ず流量と水圧を常に監視してください。


図14:冷却水流量と圧力損失の関係

 冷却システム中の不純物は、冷却水の水質を大きく下げる原因になります。例えば冷却水中の活性酸素と二酸化炭素が、水冷コンデンサの内壁の銅と反応して酸化銅を形成し、その結果冷却効率が大きく低下します。このような酸化物の生成は水温の上昇に伴い加速度的に進行します。
 冷却水中に存在するイオンにより、冷却回路の電位差によっては電気分解が起こることもあります。電気分解が起こると、冷却水の熱伝導率が大きく下がります。極端な場合には堆積した酸化物が水流を妨げることもあります。こうした現象により、真空コンデンサなどの機器は早期に故障を起こすことになります、製品はこうした影響を極力抑えるように作られておりますが、この種の故障を完全になくすことは不可能です。冷却水の詳細をご希望のお客様は(株)コムクラフト営業部(TEL:03-3395-5553)へお問い合わせください。

●自然空冷式コンデンサの補助水冷

 標準の自然空冷コンデンサは、純粋な自然対流、言い換えればコンデンサ周りの空気の流れのみによって冷却を行います。工業用に用いられる小型コンデンサは自然対流の冷却限界によって許容電位容量が決まってしまいます。そのため、コンデンサ内部の極板はまだ絶縁限界まで高電圧印加されておらず、熱伝導冷却により許容電流容量を引き上げ、機器を小型化することが可能です。

 水冷カバープレート(CV1W-500EWをご参照ください)を用いると、電流容量を増すことができます。
ミニコンと呼ばれる小型のコンデンサには、この方法はコスト的にみて、汎用タイプの性能を向上させるのに優れた方法です。コンデンサの外形寸法はほとんどかわらず、ただ高さのみが若干(3mmほど)増えるのみです。電流容量はできるだけ押さえることでより大きな値を得ることができます。この方式のコンデンサは、強制空冷が許されないクリーンルーム内で使用されるマッチングボックスや、小さい外形寸法が要求されるようなところで威力を発揮します。例としてこの冷却を行ったときのCV1W-500EWの電流曲線をご参照ください。

赤いキャップが標準タイプよりも短くなっているため、このタイプ製品はあらかじめ冷却板を取り付けてあります。また、工場出荷の際に冷却水漏れの試験を行っております。

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