「雷撃防護の基礎知識」
The "Grounding" for Lightning and EMP Protection
Appendix 1
●雷撃に関する補足
地球大気は常にわずかに帯電しています。このことはベン・フランクリンが200年前に発見しました。フランクリンは静電気によって2個のベルを鳴らすという方法で、嵐の警報ベルを製作しました。通常の状態はでは、大気に1[m]あたり150[V]という電場が存在しますが、空気が乾燥した日などは1,000[V/m]になることもあります。これは身長180[cm]の人の頭とつま先との間でなんと1,800[V]もの電位差が生じることになります。(この電気は静電気であり、電力的には微弱であるため、世界のエネルギー問題を解決するような利用はできません。仮にここに導線を入れると、電場そのものが変化してしまい、導線の両端にはこれほど大きな電位差は生じません。)
地球は常に電子を失っています。電流は非常に微弱(3.0×10^-6[A/km~2])ですが、地球全体ではなんと2,000[A]にも達する膨大なものです。電気的なバランスは、1秒間に150回という雷撃によって保たれています。
高層大気は、太陽の放射、流星、その他の理由で電導性が高くなっています。特に、高度100〜350[km]の領域は電導性が高くなっています。これより上層は、高度が一定しない「バン・アレン帯」と呼ばれる領域で、空気の分子がイオン化されています。地球磁場の影響で、マイアミとリオ・デ・ジャネイロの上空にバン・アレン帯の高度は低くなっていますが、こうした場所では活発な雷撃が多く発生します。太陽活動が活発になると大気中の電場も5〜10%ほど大きくなります。そうすると、全世界での雷撃はおよそ3倍となり、非常に活発になります。電導性を持つ大気の層と地表面が、ちょうどコンデンサーの2枚の極板のような状態となりますが、ここで太陽が大気の層を帯電させ、大地に帯電した電荷が失われると電場のアンバランスが生じ、大気の絶縁限界を超えた電圧勾配が生じると雷撃が発生します。
雷撃によって開放された電磁波の放射エネルギーは、数百キロ離れた一般のAMラジオでも、一番低い周波数帯であれば受信することができます。また低周波数帯であれば3,000[km]離れた雷撃であっても検知することができます。(雷撃に伴う、鋭いホイッスルのような音が10〜20[kHz]帯で受信することができます。この音はわずか数秒で6[kHz]程度の低い周波数に移っていきます。)
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